社会人留学のススメ「人生100年時代」を楽しむ留学という選択

「人生100年時代」と言われる今、その働き方、人生の捉え方が変わりつつあります。
昨今注目が集まるのが「リカレント教育」。なかでも40代以降の大人世代の間で注目を集めているのが、「語学留学」と「大学院進学」の2つ。

ここではこれまでのさまざまな社会人経験を積んだ“大人の学び直し”留学体験談をご紹介します。

第一回目は「人生100年時代」の後半戦に向けて新しい働き方にチャレンジしようと会社を退職、長年の課題だと感じていた英語力の獲得に向けて入念な準備を元に渡米した河野純子さんです。

ポートランド留学体験談:河野純子さん

 

次のキャリアへの移行期は、集中して英語を学ぶ大チャンス


―そもそも語学留学をしようと決意した背景は何だったのでしょうか?

語学留学を思い立ったのは、勤務していた総合商社で担当していたプロジェクトが一区切りついたときです。当時私は53歳。「人生100年時代」の後半戦に向けて新しい働き方にチャレンジしようと会社を退職することを決めたのですが、本格的に次の仕事を始める前に、長年の課題だった英語をなんとかしようと思ったのです。

総合商社勤務というと、「英語はできて当たり前」と思われてしまうのですが、私は国内企業からの転職者だったので、英語は全くダメ。転職後数年間は、週1回英会話スクールに通ったりもしていましたが、全く進歩せず諦め気味でした。

でもそれもそのはず。実は様々な研究データから、日本人が確実な英語力を獲得するには約2,000時間が必要と言われているにもかかわらず、日本の学校教育では約1,000時間しか英語を学んでいません。よって、あと1,000時間は自分で努力しなければならないのですが、それを週1回1時間の英会話スクールで達成しようとしたら、なんと必要年数は20年!英会話スクールに数年通っても成果が出ないわけですよね。では留学して1日10時間英語で過ごしたら?1,000時間の目標は5ヶ月で達成できるのです。これは効率的!そんなことを考えて、私は「大人留学」にチャレンジすることを決めました。

 

迷ったときこそ、「大人買い」の精神


―留学を決意なさるまでに英語習得のための下調べをなさっているのですね。それではスクール選びに関してはどういった観点で進められたのでしょうか。

語学留学をしようと決めてまずしたことは、留学エージェントを3社ほど選んでから留学先に関する資料を請求することでした。ところが、どさっと届いたパンフレットを見ていると、選択肢があまりに豊富で1か所に絞り込めません。国もアメリカカナダオーストラリアイギリスといった定番国から、最近ブームというフィリピン、マルタ共和国まであり、さらに各国の中でも魅力的な都市がたくさん…。

そこで私はひらめきました。何も留学先を1か所に絞る必要はないのでは?と。迷ったときには全部買うという「大人買い」の発想ですね(笑)。そこでまずは6月に3週間、グループレッスンとほぼ同じ授業料でマンツーマンレッスンが受けられるフィリピン・セブ島にプチ留学してみることにしました。

その後、9月からアメリカ・オレゴン州のポートランドに3ヶ月留学することに決めました。「ポートランド」は私が長年、ライフスタイル提案型の新規事業の開発をしてきたなかで注目していた街。「全米一住みたい街」に何度も選ばれている「クリエイティブでサスティナブルなライフスタイル」を、実際に住んでみて体験してみたかったのです。

ポートランド留学体験談:河野純子さん
カプラン・ポートランド校があるおしゃれなパーク地区の街並み

 

-なるほど、そこでカプランと出会ったと!実際にカプランの授業を受けていかがでしたか?

授業は1クラス12人程度のグループレッスン。登校初日にレベルチェックテストを受け、適切なクラスに入ります。私のテストの結果は、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)でB2(準上級レベル)。セブ島の語学学校で初日に受けたテストの結果はB1(中級レベル)だったので1ランクアップです。

セブ島から帰国したあとに、日本で3ヶ月間、リスニングや語彙を増やす“自主練”をコツコツやっていた成果だと思います。この結果のおかげで、私は上から3つめの「Higher Intermediate」というクラスに入ることになりました。これはとてもラッキーでした。一定レベル以上の英語力がある生徒向けのクラスなので授業のテーマも知的好奇心が刺激される面白さがあり、また担任教師も経験豊富なベテラン、クラスメイトも社会人が中心だったので、授業がとても充実したものになったからです。

具体的な授業の中身はというと、午前中は担任教師による90分の授業が2コマ。オリジナルの教科書をベースに週ごとに設定されたテーマとトピックを探究するというスタイルで、例えば「The Earth in Our Hands」というテーマの週のトピックは「Ecotourism」「Climate Change」「Future Food」「How environmentally friendly are you?」といった具合です。各トピックに関する記事を読んだり、エッセイを書いたり、小グループでディスカッションをしたりしながら、そのプロセスを通じて4技能を磨いていきます。

午後は90分の授業が1コマ。自分が強化したいスキルや興味のあるテーマに応じてクラスを選択します。私はニュースやTEDトークを見て議論をするスピーキングのクラスや、アメリカの文化や歴史を学ぶクラスをとっていました。

ポートランド留学体験談:河野純子さん
エッセイの宿題、毎週のテスト、月1回の評価レポートの数々。

 

クラスメイトの年齢層は20代~30代の社会人が中心で、中には40代、50代の生徒もいました(初級のクラスはもっと若く、高校生や大学生が中心)。国籍は事前に聞いていた通り日本人は2割ほどで、台湾、タイ、韓国、トルコ、サウジアラビア、ドイツ、スペイン、ブラジル、ボリビアとバラエティ豊か。世界中から集まったクラスメイトと話していると、本当に世界にはまだまだ知らない文化や価値観があるということを実感しました。

教師やクラスメイトにも恵まれて授業は想像以上に楽しく受けることができました。特にヒアリングの自主練のおかげか教師の言っていることはほぼ理解できたので授業についていけないということはなくて、ほっとしました。一方で、自分の思っていることをうまく表現できずもどかしい思いをしたり、非ネイティブスピーカーであるクラスメイトの英語が聞き取りにくく苦労することも度々。また宿題も毎日あり、毎週月曜日には前週学んだことの復習テストもありました。さらには月に1回の評価フィードバックと、10週間後にはレベルアップテストも控えていました。そのため、ポートランドの生活を楽しみつつも、しっかりと勉強もした3ヶ月でした

 

カプランポートランド留学体験談:河野純子さん
国籍も年齢も多様なクラスメイトと教室で。

 

―英語力が向上されたのは素晴らしいですね。その成果は現職でどのような点でかんじられますか?またこれから留学を検討される社会人の方に向けてアドバイスをお願いします。

ポートランドで暮らした3ヶ月を振り返ると、本当に楽しく充実した時間だったと思います。
まず英語力に関しては、CEFRのB2からスタートし、10週後に受けたレベルチェックテストでは一応無事にC1(上級レベル)にランクアップ。最後の3週間はAdvancedクラスで学んで卒業することができました。これは学校内での授業のみならず、学校外での様々な活動(現地のミートアップや料理教室などへの参加)も功を奏したと感じています。

カプランポートランド留学体験談:河野純子さん
ミートアップで出会った地元の友人たちとハイキングへ。

 

カプランポートランド留学体験談:河野純子さん
通っていたお料理教で。ヨガやガーデニング講座にも参加

 

世界各国から集まった学生たちとの交流を通じて、視野が広がったことも大きな成果のひとつです。またポートランドの地産地消の豊かな食生活や、アウトドアやDIYを楽しむエコでサスティナブルな暮らしを体験できたことは、ライフスタイル提案やマーケティングを仕事にしている私にさまざまなヒントをくれました。

カプランポートランド留学体験談:河野純子さん
ポートランドの地産地消の暮らしを支えるファーマーズマーケット。

 

これから「大人留学」をお考えの方には、いくつになっても遅すぎることはないとお伝えしたいですね。私も留学前は、年齢的に浮いてしまわないか少し心配でしたが、学校では同じ学生同士、年齢や国籍にかかわらずみんなと友達になれるので心配はいりません。大人ならではのバランス感覚や時間管理術で、クラスに貢献することができると思います。ただ、より英語の成果をあげるためには、事前にある程度、英語力をアップさせておくことをお勧めします。また現地では学校の授業だけでなく、お稽古やボランティアなどの活動を通じて英語ネイティブのコミュニティに参加することが、英語上達の秘訣だと思います。そういう意味では、私はプライバシー重視でアパートメントに住んでいましたが、ホームスティという選択肢も魅力的だったと思います。

 

取材を終えて


河野さんは帰国後大学院で「社会イノベーション」を学びながら、フリーランスとしていくつかのプロジェクトにプロデューサーとして参画されています。
大学院では英語の授業のヒアリングもこなし、留学した経験が糧となっているとお話しされていました。ただしディスカッションとなると、まだまだ弱点があり、今後も2週間ほどのまとまった時間がとれたら留学をしたり、海外と日本をつなぐビジネス手掛けるなどして仕事で英語を使うチャンスを作っていきたいと更なる抱負を語ってくださいました。

河野さんのように、常に目的をもって学び仕事に生かす姿勢は“大人留学”によって得られる豊かな人生そのものともいえそうです。

 

●河野さんが留学したセンター

Kaplan International Englishポートランド校(アメリカ)

アメリカ西海岸にあるポートランドは、自然に囲まれ「環境に優しい都市」として世界的にも有名。世間の流行に左右されず、エキセントリックな人や進歩的な考えを持つ人たちが、風変わりでユニークなものに対する愛情を表現する格好の場所なのです。

カプラン・ポートランド校(アメリカ)
カプラン ポートランド校

 

カプランのアメリカ語学留学
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